コラム

フジテレビ問題から考える性暴力と企業の責任

2025.09.10

中居正広氏によるフジテレビ女性社員に対する性暴力事案について、2025年3月31日に第三者委員会による調査報告書が公表されました。報告書は、中居氏の事案が女性に対する性暴力であると同時に、フジテレビにとって社員に対する取引先からの人権侵害、いわゆるカスタマーハラスメントにも該当することを指摘しました。同時に、フジテレビが人権意識の低さから対応を誤ったことを厳しく弾劾しており、大きな波紋を呼んでいます。

フジテレビの問題として、女性役員比率が低く、セクハラを容認したり女性を接待要員として扱う風土など、根深いジェンダーバイアスがあることが指摘されています。コンプライアンスや人権を重視する企業が増えている中、未だにフジテレビのような風土を持つ企業が数多く存在するのではないでしょうか。

しかし、性暴力やカスタマーハラスメントを許さず、従業員を守るために毅然と対応することが、企業の社会的責任として認知されるようになっています。企業内で、ハラスメント・人権侵害が発生したときには、「被害が起きている」ということを受け止め、被害者保護を第一優先で考えられるようにしなければなりません。

フジテレビのようにジェンダーバイアスがかかった感覚では、人権侵害が起こっても、「被害」として受け止めることができません。報道や情報に関心を持ち、感覚をアップデートしていくことが大切だと思います。