コラム

B型肝炎訴訟で画期的な最高裁判決がでました!

2021.09.01

 集団予防接種における注射器の回し打ちが原因で、B型肝炎ウイルスに感染した患者が、国に対して損害賠償を求めている「B型肝炎訴訟」。 平成23年6月に、国と原告団の間で、病気の進行状況に応じた賠償金を支払うという内容の合意が成立し、これを基に、B型肝炎患者に対する給付金制度が創設されました。しかし、積み残された課題もありました。 

 提訴から20年以上前に肝炎を発症した患者に対して、国は「除斥期間」が経過したため請求権が消滅したと主張し、通常の給付金から大幅に減額された給付金しか認められない制度になっています。

 その結果、病気で苦しむ期間が長期間に及ぶことを理由に、十分な補償を受けられないという、極めて理不尽な状況となっています。 

 今回の最高裁判決は、肝炎発症から20年以上経過してから提訴したとされる患者のうち、一度肝炎が沈静化した後に、肝炎が再発する、という経過を辿った患者について、除斥期間の起算点を再発時とするべき、という判断をしたものです。 

 再発時から起算して20年以上経過していない患者については、除斥期間が経過していないことになり、通常の救済措置がなされることになります。 

 更に、今回の最高裁判決には、長期間苦しむ患者が多数存在することを指摘し、国に対して、除斥期間が経過したとされる患者と協議するよ う、補足意見が付けられています。 

 今後、弁護団は、救済対象を広げる活動をしていくことになります。 私も弁護団の一員として、全てのB型肝炎被害者の救済を目指して、取り組みを続けたいと思います。