コラム

事業承継をいかに実現させるか

2019.04.19

Aさんは、息子Bさんや親戚2名の従業員とともにプラスチック加工の事業を営んでいました。Aさんが病気で倒れた時、Bさんは、Aさんに多額の借入れがあることに気づき相談に来られました。

入院先で事情を聞き、Aさんは破産管財人が付く通常の破産を、連帯保証人になっていたAさんの妻は簡易型の破産の申立てを方針としました。

問題は、借金の一部の連帯保証人になっていたBさんが、事業を承継して雇用も守りたいと希望され、これをどう実現するかでした。

破産は、破産者の今ある財産をすべてお金に換えて、これを債権者に平等に分配する制度です。事業で使用していた機械類や什器、備品等はすべてお金に換えて債権者に分配するべき財産ですので、通常は機械類等をそのまま利用し続けることは困難です。

しかし、機械類等と引き替えに、それらの価値相当分を現金で組み入れられれば、破産者の財産は減らないので、機械類等をそのまま利用できる可能性があります。

機械類等の査定をもとに破産管財人と交渉し、Bさんは機械類等の価値相当額を現金で組み入れられました。また、取引先の協力もあり、事業を継続することで借入の返済を計画案どおりに達成できる見通しが立ち、Bさんは個人再生の申立てを行いました。そして裁判所の認可決定を得られ、無事に事業を承継し、雇用も継続できたのです。

条件次第ですが、このようなケースもありますので、お困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。事務所では、税理士・司法書士などの専門家や業者団体と研究会を立ち上げ、中小企業の事業承継に取り組んでいます。