コラム

カスタマーハラスメントに対する規制

2025.06.10

職場において、顧客からの「カスタマーハラスメント」を受け、精神疾患を発症したり、職場を離れてしまうという被害が、社会的に問題視されています。一般的にカスハラとは、顧客や取引先から労働者に対して業務に関連する著しい迷惑行為があり、労働者の職場環境が害されるもの、とされています。正当性のないクレーム、無理難題を求める行為、威圧的あるいは執拗要求、身体的な攻撃や脅迫・中傷などによる精神的な攻撃等が該当します。

カスハラに対しては、個人ではなく組織で対応する必要があります。事業主は、事業を遂行する中で、従業員が顧客等からカスハラを受ける可能性のあることを想定し、組織として措置を講じる責任があります。事業主が適切な措置を講じなかった結果、労働者がカスハラによって被害を被った場合、事業主は安全配慮義務違反を問われる可能性があります。カスハラが発生した場合の対応をマニュアル化したり、問題のある顧客への対応は複数体制にするなど、事前に措置を講じておくことによって、深刻な被害を防ぐことができます。

2024年10月には、東京都で全国初のカスハラ防止条例が成立しました。今後、全国で条例制定や法制化に向けた議論が加速していく可能性があります。