コラム

女性支援法の理念を実現するために

2023.12.20

女性支援法の成立

離婚や性被害に遭った女性から、法的手続の依頼をいただくと、女性を取り巻く様々な困難を目の当たりにすることがあります。離婚後母子家庭となり、収入が少なく貧困に陥ってしまう女性、職場でセクハラに遭ったことがきっかけで退職を余儀なくされ、収入を絶たれて貧困に陥る女性、性被害によって回復困難な精神疾患を発症し、社会生活に戻れなくなった女性—。

日本には、複合的で難しい問題を抱える女性が数多く存在しますが、「女性を支援することを目的とする法律」というものは、昨年まで存在しませんでした。

そのような状況の中、2022年5月、「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」(以下、「女性支援法」と言います。)が成立しました。

 

女性を取り巻く様々な問題

なぜ、わざわざこのような法律を作って、女性を支援する必要があるのでしょうか。

この法律の必要性を説明するためには、女性を取り巻く状況について、理解する必要があります。

まず、女性は、男性に比べて圧倒的に、性的な被害、すなわち強制的な性交渉、痴漢などのわいせつ被害、ドメスティック・バイオレンス、ストーカー被害や、職場や学校でのセクシャル・ハラスメントに遭っており、性的な暴力やハラスメントの対象にされやすいと言えます。

性暴力やセクハラなどの被害に遭った女性たちは、少なからず、精神的ダメージを受け、通院や退職などにより経済的にも損害を被るなど、人生を大きく狂わされることも少なくありません。

また、女性は男性に比べて、経済的・社会的に、不利な状況におかれています。

相対的貧困率の統計によると、高齢期の単身女性世帯や、一人親世帯(うち85%がシングルマザー世帯) の二人に一人が貧困で、突出して貧困率が高いことが明らかにされています。

女性が男性に比べて平均賃金が低いことや、非正規雇用率が高く雇用が安定しない人が多いことが、女性が貧困に陥りやすい主な原因の一つです。

このように、女性は、男性に比べて性的な被害に遭いやすいこと、性被害によって取り返しのつかないダメージを受けるリスクを負っていること、経済的・社会的に不利な立場に置かれていることから、困難な問題を抱えてしまう可能性が高いと言えます。

女性を取り巻く社会的な状況、抱える問題の困難さから、女性には公的な支援が必要と言えるのです。