このたび、旬報社から、「最新テーマ別〈実践〉労働法実務シリーズ」(全13巻)が刊行されることになりました。 私はその編集委員ですが、第1巻の執筆も担当することになり、2024年7月、標題の書籍を上梓し …続きを読む
問い
私は、4戸が連なっている長屋の1戸を所有し住んでいます。他の3戸を買い取った不動産業者が、足場を組んで私の家を切り離す工事を勝手に始めようとしています。どうすればよいでしょうか?
答え
長屋のような連棟式建物は、建物の屋根、壁、柱、基礎などを共有しており、「区分所有法」という法律が適用されます。この法律は、「共有部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない」と定めています。
連棟式建物は、切り離すことを前提としておらず、構造的に全体で強度を得られるようになっており、内壁だった壁が外壁になれば強度が不足します。切り離し工事は「専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきとき」にあたり、所有者の承諾が必要です。
まずは、業者に工事の中止要請を行い、承諾できる条件を交渉しましょう。条件としては、①現状の強度を計算したうえで、②強度に配慮した措置を執って切り離し工事を行い、③切り離し後にも当初の強度が維持されるように工事をし、④費用は業者が負担することとすれば安心です。
業者が中止要請に応えない場合、法的には、工事差し止めの仮処分や損害賠償請求という手段があります。