問い 長年住んでいた借家から転居することになりましたが、家主さんから原状回復をするよう求められました。何をすれば良いのでしょうか。 答え 転居によって建物の賃貸借契約が終了すると、借主には原状回復をす …続きを読む
2019年は日韓関係がとても悪化した年でした。
韓国の大法院(日本の最高裁)が第二次世界大戦中に過酷な強制労働を賃金の支払われなく強いられた労働者(徴用工)が起こした裁判で、日本製鉄や三菱重工に対して損害賠償金の支払を命じました。この判決に対して日本政府は「日韓請求権協定」で全て解決していたのであり、それを蒸し返す韓国政府の態度は絶対に認められないと非難したのです。そうなのだろうか、この判決を読んでみました。
するとこの判決も日韓請求権協定で徴用工の「未払い賃金などの財産請求」は全て解決済であることを認めていました。しかし、協定の交渉のとき韓国政府が強制労働の前提となる日本の植民地支配が違法であることを理由とする損害賠償を求めたのに対して、日本政府はその違法を決して認めなかったのです。
そこで判決は、この違法な植民地支配による「賠償請求(慰謝料)」の問題は当時の協定では解決されていないことを理由にして、徴用工の「慰謝料請求」を認めました。裁判の相手は日本政府ではなく当時の日本企業であり、徴用工という個人の請求について裁判所が請求権の有無を判断したのです。
仮に日本でも、最高裁判所が未解決の問題についてある企業にある個人への支払いを命じた時、政府が横やりを入れて最高裁判決に反する態度をとることは「三権分立(司法の独立)」によって出来るはずがないのです。
未解決の問題が残っていることを冷静に認めるところから、和解の道は始まるように思えるのですが、いかがでしょうか。