コラム

森友学園問題をめぐる司法での動き 真相解明を求める会の活動 その2

2019.12.10

学校法人森友学園に対する国有地の低額譲渡に関する問題で、私が所属する「国有地低額譲渡の真相解明を求める会」は、司法の場で活動を継続しています。この間の大きな動きを紹介します。

二つ目は、検察審査会での議決です。

学校法人森友学園への国有地の売却やこれをめぐる財務省の決裁文書の改ざんについて、2019年3月15日、大阪第一検察審査会は、背任罪、有印公文書変造罪、公用文書毀棄罪のいずれの罪でも、重要な役割を担った者につき、捜査が尽くされていないとして不起訴不当と議決しました(公表は3月29日)。

私たち真相解明を求める会の弁護士は、背任罪や有印公文書変造罪や公用文書毀棄罪で刑事告発をしていましたが、2018年5月31日に大阪地検が不起訴処分としましたので、検察審査会に審査申立てをしていました。

検察審査会は、背任罪では、国有地の価格算定の基礎となった廃棄物の撤去処理費用の評価について、見積内容ほどの工事が必要か否かの検証がなされておらず、客観性のある試算を行うことや政治家らによる働きかけの影響の有無について十分な捜査が尽くされていないことなどを議決の理由としました。

また、公文書変造罪では、本件決裁文書の作成権限の有無について、検察官は被疑者らにその権限が全くないとは言い切れないというあいまいな判断しかしていないこと、一旦最終決裁権者の決裁を完了した文書を修正する場合には、その必要性と修正箇所を明らかにした上、再度決裁を了するのが社会的常識であると考えられるところ、今回はその常識を逸脱した行為がなされており、相当な大幅な削除がなされたことにより、第三者の視点から見ても、原本が証明していた内容が変わってしまったとの評価ができることから変造であると言わざるを得ないとしました。

さらに、公用文書毀棄罪においても、文書の事案終了は、本件土地の売買契約の終了時点であるとはいえず、公用文書に該当すると判断しました。

審査委員は、膨大な不起訴記録を丹念に読み込み、十分な議論を経た上で、極めて常識に適った判断を示したものといえる。大阪地検はこの議決を真摯に受け止め、十分な再捜査を尽くし、起訴した上で、公開の裁判で真相解明を図るべきです。

それにも関わらず、大阪地検は、2019年8月9日、再度全員を不起訴処分としたため、私たちの会は、同日、記者会見で抗議の声明を発しました。

昨今問題が表面化した「桜を見る会」では、安倍首相や首相夫人、それらを取り巻く官邸、自民党議員による権力の私物化は現在進行形であり、公文書の恣意的な廃棄も依然として行われています。検察庁がこの問題を不問に付するということは、もはや法治主義を放棄するに等しいといえます。

私たちの会は、現在大阪地裁に係属している交渉・応接記録の情報公開訴訟など、引き続き真相解明に向けて尽力していく所存です。