このたび、旬報社から、「最新テーマ別〈実践〉労働法実務シリーズ」(全13巻)が刊行されることになりました。 私はその編集委員ですが、第1巻の執筆も担当することになり、2024年7月、標題の書籍を上梓し …続きを読む
「下流老人」という言葉が話題になったように、高齢者の貧困問題がポピュラーな問題として認識されるようになっています。
高齢で働けなくなったり、家族など世話をする人が周りにいなかったりといった事情が積み重なると、若い間は自分の力で生活できていた人が、あっという間に貧困に陥ってしまいます。
ある依頼者は、長年、自営業を営んでこられましたが、売上が落ちて収入が少なくなってしまい、生活費不足のため借金をせざるを得なくなりました。
しかし、高齢のため、仕事を続けることすら難しくなってしまい、国民年金のみで生活するしかなくなったため、借金の返済を続けていくことができなくなりました。
そこで、借金の清算のために、自己破産の申立をすることにしました。
さらに、この依頼者は、国民年金だけでは生活が苦しいので、破産申立と同時に、生活保護の申請手続も行いました。
このように、長年まじめに働き、年金保険料をきちんと納め続けてきたのに、人生の終盤に差し掛かったときに、生活がままならない状況になってしまう、という相談を、よく聞くようになりました。
高齢者から借金の相談を受けたときは、老後に借金返済などの負担なく、安定した生活をしていけるように、生活保護申請などの福祉につなぐ手続も、あわせて取り組むようにしています。
そして、このような相談を聞くと、「下流老人」の問題は、今まさに、私たちの身近で起きているのだと感じます。
老後に不安を抱える人は多くいます。
私たちは、少しでも、その負担を軽くして、安心して生活していけるよう、法的手続だけでなく、行政上の手続など、あらゆる側面からのお手伝いをしています。