何が相続財産になりますか?|相続・遺言の法律相談

弁護士 谷智恵子

被相続人が死亡すると相続が開始します。特別の例外を除き、被相続人の全ての財産、権利、義務は相続人が引き継ぎます。

被相続人名義の不動産、預貯金、自動車、株式、現金などは、いずれも相続財産に含まれます。

被相続人が契約していた生命保険の保険金は、受取人が指定されていない場合には、相続財産です。受取人指定がある場合には、その受取人の固有の財産なので、相続財産ではありません。保険約款で受取人を指定している場合もあります。

不動産を賃借している場合には、賃借権が相続財産です。その不動産に誰が居住しているかは影響しません。

借金(債務)も相続財産(マイナスの相続財産)です。他人の保証人になっている場合には、その保証債務も相続財産ということになります。

お墓、仏壇など祭具等は、慣習に従って引き継ぐ者を決めることになっているので、相続財産になりません(民法897条)。

相続財産の調査は?

被相続人の財産状況が全て分かっていることの方が少ないと思います。たとえば、生前、あまり行き来のない兄弟が相続人となったというような時には、「皆目分からない」ということが多々あります。

不動産、通帳のある預貯金などは比較的調べやすいのですが、それ以外のものの解明には手こずることがあります。たとえば、銀行から来た定期預金の利息の通知や証券会社からの配当金通知などを頼りに、その金融機関に問い合わせていかねばなりません。

その際、照会先は、被相続人死亡の証明、相続人であることの証明、印鑑証明などを求めてきますし、「一度窓口まで来てほしい」と言われる場合もあります。金融機関毎に求められる書類が異なることもあり、2度、3度の書面のやりとりとなります。事務的にとても煩雑です。弁護士がついて、相続人の確定と相続財産の確定の手続きが受任事務の大半を占めるという場合があります。

相続人が高齢者であったり、遠方で居住していたりで、「とてもやり遂げられない」とのことで、弁護士に依頼されることもあります。