2024年4月1日から、相続登記申請が義務化となりました。その内容は、相続人は、不動産(土地・建物)を相続で取得したことを知った日から3年以内に、相続登記を法務局へ申請しなければならないというものです …続きを読む
弁護士 岩佐賢次
Q1 遺言ではどんなことができますか。遺言を作っておかなければいけない場合はありますか。
A1 相続人のうちの誰かに法定相続分をこえてたくさん残したい場合や、どの財産を誰に渡すかを決めておきたいときには、その内容を遺言にしておかなければなりません。
財産を法定相続人以外の人に残したいときは、必ず遺言が必要です。例えば、内縁の妻や世話になった人に残す場合です。
認知など身分関係についての行為も行うことができます。
Q2 遺言を作りたいのですが、遺言の種類について教えて下さい。
A2 遺言は必ず書面(遺言書)にしておかなくてはなりません。口で言っただけでは無効です。テープやビデオで残しておいても有効な遺言にはなりません。また、意思表示ができるだけの意識(遺言能力)があるうちに作らなければなりません。
一般的な遺言の種類には、自筆証書遺言と公正証書遺言があります。違いは、表のとおりです。
自筆証書遺言は、図のように自分で書いて作成します。但し、相続法の改正により、財産目録の部分についてはパソコンでの記載や預金通帳や登記事項証明書の写しを添付する方法でもよくなりました。もっとも、この場合でも財産目録の全頁に署名と押印が必要です。
公正証書遺言は、あなたの意向を聞いて、公証人役場で作成します。公正証書遺言は、自分で字が書けず、自筆証書遺言の作成が無理な場合にも作成できますし、病気で身体が不自由な場合は、公証人に自宅や病院に出張してもらって作ることもできます。
遺言をはっきりとした内容にし、後にもめごとが起きないようにするためには、公正証書遺言が安心です。
Q3 子どもたちの仲が悪く、私の死後、遺言どおりにしてくれるか心配です。
遺言の内容をスムーズに実現するためには、遺言の中で、遺言執行者(遺言の内容を実現する責任者)の指定をしておくことが便利です。遺言執行者については、法律の専門家である弁護士を指定しておくことが安心です。
信託銀行は基本的には遺言を預かる(遺言信託)だけですし、税理士は主に税務上の観点からのアドバイスとなります。弁護士は遺言の作成から実現(執行)まで、法律上の様々な問題を考慮して、幅広くサポートします。