2024年4月1日から、相続登記申請が義務化となりました。その内容は、相続人は、不動産(土地・建物)を相続で取得したことを知った日から3年以内に、相続登記を法務局へ申請しなければならないというものです …続きを読む
弁護士 原野早知子
Q 夫が死亡しました。長年連れ添って、一緒に生活してきたのですが、実は私と夫は結婚届を出しておらず、内縁関係でした。夫名義の自宅などが残されましたが、内縁の私は夫の財産に対し、何も権利がないのでしょうか。
A あなたは、夫の戸籍上の配偶者ではないので、法定相続人ではありません。あなたのような内縁の妻が夫の遺産を受け取れるかどうかは、他に相続人がいるかいないかで変わります。
夫に子や兄弟姉妹などの相続人がいる場合に、内縁の妻は遺産に対する権利はありません(共有などの主張ができることもあります)。遺産を受け取るためには、必ず、夫に生前に遺言を作成してもらう必要があります。
夫に相続人がいない場合はどうでしょうか。「特別縁故者」として遺産の全部又は一部を受け取ることができる可能性があります。
「特別縁故者」とは、「被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者」(民法958条の3)を言います。相続人が不存在の場合、家庭裁判所は、特別縁故者の請求により、遺産の全部又は一部を与える決定をすることがあります。
夫と生計を共にしていた内縁の妻は、「特別縁故者」の典型的なケースとして、家庭裁判所の決定で遺産を受け取ることができる可能性があります。
相続人がいない場合、家庭裁判所に対し、相続財産管理人の選任を申し立てます。そして「特別縁故者」としての権利を主張する人は、相続人捜索手続後、一定の期間(3ヵ月)内に、家庭裁判所に請求をする必要があります。
なお、内縁の妻だけではなく、法定相続人ではないが、被相続人の世話を長年するなど関係が深かった人も「特別縁故者」として認められることがあります。