コラム

揉めない遺産分割のススメ(4)

2025.04.24

第4 遺産分割

遺産分割の手続きの流れについて説明します。

 

1 遺産分割は、原則として相続人が協議して決めます。遺言が有る場合にはその記載通りに分割しますが、遺言の内容と異なる分割をすることも可能です。

遺言が無い場合には法定相続分を基準にして、相続人が協議して分割することになります。

 

2 相続人間の協議がまとまらない場合には家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てる必要があります。

調停は、原則として相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てなければなりません。

調停を申し立てる際には、相続関係と遺産の内容を整理し、裏付け資料を揃えなければなりませんが、手慣れていないとなかなかに大変な作業になります。

弁護士は、金融機関への照会などによって、可能な限り遺産の状況を調査することができますし、連絡の取れない相続人の住所を調査することもできますので、手続きを確実にするためには弁護士に任せる方が良いでしょう。

調停では、調停委員を通して、主張を相手に伝え合いながら協議を進めていきますが、自分の主張をきちんと伝えられるか不安であったり、資料の作成が負担であったりする場合に、弁護士を代理人として調停を進める方が良いでしょう。

 

3 調停手続きで協議がまとまらない場合には、調停不成立となって、審判手続きに移行します。審判手続きでは、当事者の主張と証拠に基づいて遺産分割の方法を決定しますが、証拠がない事実は認められないし、法律に定められていない解決方法は採用できませんので、硬直的な結論になることが多いです。

家庭裁判所が出した審判に不服がある場合は、管轄の高等裁判所に即時抗告という不服申し立てをすることができます。

 

4 なお、遺産の存否や遺言の効力などに争いがあるときには審判手続きができませんので、通常の民事訴訟を先行させる必要があります。