コラム

「ノーモア・ミナマタ近畿第2次訴訟」で 裁判官が現地を「視察」しました

2023.04.01

大阪地方裁判所で、水俣病被害者130名が原告となり、加害企業であるチッソと、国と熊本県を被告として、裁判を闘っています。「ノーモア・ミナマタ近畿第2次訴訟」といいます。原告さんたちは、不知火海一円の出身者で、若い頃、故郷を離れて、今は近畿周辺に居住をする人たちです。裁判は、提訴から8年、12月21日に審理を終え、今年判決を迎えます。

裁判の審理の中で、昨年の9月26日、担当する裁判官2人が、水俣の現地を「視察」(現地進行協議)しました。チッソ水俣工場の汚染による被害が、水俣市周辺だけでなく不知火海全域に広がった状況を裁判官に見てほしいと、原告が申し立て、実現したものです。

当日、被告チッソ水俣工場のある水俣市の水俣港を船で出発し、午前から夕方までかけて、不知火海を船で回りました。途中、水俣市の対岸の天草市倉岳の頂上から、不知火海を見渡し、原告・弁護団は、陸上、海上17地点で汚染と被害の広がりを説明しました。

これまで、いくつもの水俣病裁判がありましたが、裁判官が現地に赴くのは、約30年ぶりとのことです。実際に現地に行ってもらい、この「視察」で、水俣病被害が不知火海全域に広がっていることを、裁判官に実感してもらえた、と確信しました。

 

(天草・倉岳山頂より不知火海を望む)