問い 長年住んでいた借家から転居することになりましたが、家主さんから原状回復をするよう求められました。何をすれば良いのでしょうか。 答え 転居によって建物の賃貸借契約が終了すると、借主には原状回復をす …続きを読む
2021年7月19日から3日間、平和の少女像を含む芸術作品の展示会 「表現の不自由展かんさい」が開催されました。
開催の3週間前に、会場の大阪府立労働センター(エル・おおさか)側が、抗議の電話やメール、大音量での抗議活動の激化が予想されるとして、会場の利用承認を取り消す事態となったため、私は、実行委員会側の弁護団の一員として、エル・おおさか側の処分の取り消しと執行停止を求める裁判を起こしました。
これまでの最高裁判例の考え方は、一旦利用を承認した公の施設について、妨害行為があるからといって取消すことができるのは、他の基本的人権が侵害され公共の福祉を害する差し迫った危険が具体的に予見されることが必要であり、警察力の警備によってもなお混乱を防止することができないなど特別の事情がある場合に限られるとしています。
大阪地裁は、この最高裁判例の考え方を踏まえて執行停止を認める決定を出し、大阪高裁や最高裁でも、この決定を維持し、実行委員会側が会場を利用できる状況を取り戻しました。
気に入らない作品のある展示会だからといって、脅迫や妨害をして開催を断念させようとするのは違法です。会場のエル・おおさか側がこれらの妨害行為を原因として安易に会場利用承認を取り消すのは、妨害行為に加担するのと同じです。
悪意に満ちた言動によって分断されがちな現代社会において、表現の自由の持つ価値、規範力を実践的に示すことができたことは収穫でした。
今年も憲法上の価値に焦点があたる活動にもしっかり取り組んで行きます。