コラム

「新しい生活」・「新しい労働」

2020.08.18

後手後手で功を焦り、思いつき政策を連発する安倍政権が押しつけてくる「新しい生活様式」。でも、国はまず、これまでさんざん病院統廃合などを推し進めてきたことを反省すべきではないでしょうか。それをしないで国民の自己責任といわんばかりに私生活に干渉するのはおかしいのではないでしょうか。それが自粛警察(ファシズム)をあおるのです。

テレワークも、家族的責任を抱えている人には朗報かもしれません。でも、学校・保育・介護などが機能していないと、家庭内ですべてを抱え込んでしまいます。私生活との境界があいまいになることで長時間労働に陥るおそれもあります。ちなみに勤務先と電話やメール等で連絡がとれるときは「事業場外みなし労働時間」(事業場外で働いていて「労働時間を算定し難いとき」に所定労働時間働いたものとみなす制度。労基法三八条の二。)の適用はありません。所定労働時間を超えて働けば残業代も発生します。また、仕事をしているかとしつこく連絡を入れてくる上司もいるそうですが、過度の監視はパワハラそのもの。心の健康を破壊される前にきちんと異議を述べましょう。

忘れてはならないのは、医療だけではなく、福祉・流通・公務など、そもそもテレワークなど無理な方が社会を支えてくれているということ。そしてサービス業の最前線で働いている方の多くは非正規労働者なのだということ。リーマンショックを超える大不況が進行する中、こうした非正規労働者は失業と貧困の危機にさらされています。まさにコロナ禍は格差をあぶり出しているのです。今回の出来事を機に、世の中のしんどい部分をそうした人たちに押しつけてきた社会のゆがみにも、きちんと目を向ける必要があります。