コラム

森友学園問題をめぐる司法での動き 真相解明を求める会の活動 その1

2019.12.09

学校法人森友学園に対する国有地の低額譲渡に関する問題で、私が所属する「国有地低額譲渡の真相解明を求める会」は、司法の場で活動を継続しています。この間の大きな動きを紹介します。

一つ目は、情報公開請求の裁判です。

小学校の設置趣意書の情報公開請求を財務省近畿財務局が当初不開示と決定したのは違法であるとして非開示決定の取り消しと国家賠償請求に基づく損害賠償を求めた裁判で、2019年3月14日、大阪地裁は違法と認め、原告の請求を認める判決を出しました。森友学園問題に関する全国で初めての違法を認める判決であったため、全国的にも大きく報道されました。

上脇博之神戸学院大学教授が、2017年5月に近畿財務局に小学校設置趣意書の開示を請求したところ、近畿財務局は同年7月に不開示決定(ほとんど黒塗りで開示)としたので、同年10月に不開示決定の取り消しを求めて提訴しました。すると国は一転して翌月に設置趣意書を開示したので、情報公開請求権を不当に侵害されたとして、国に慰謝料を求める訴訟を追加提起したというのが、本件訴訟の経緯です。

国は、「森友学園の競争上の地位や事業運営上法的保護に値する利益などを害するおそれがあった」とし、不開示決定は妥当と反論していた。しかし、大阪地裁は、情報公開の担当者に対する証人尋問結果も踏まえ、「私立の小学校が複数設置されていたとか、新たに私立小学校を設置しようとした学校法人があったとかいった事情は認められず、(競争関係とは)公立の小学校を想定しているものと解されるところ、独特の教育理念等を有する私立の本件小学校と公立の小学校とが競争関係にあるなどとすること自体疑問」と指摘し、「何ら合理的な根拠がないにもかかわらず、本件不開示部分記載の情報が不開示情報に該当するとの誤った判断をしたものといわざるを得ず、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と不開示決定をしたと認めるほかない。」とし違法性を認めました。

国は控訴を断念し、この判決は確定するに至っています。