コラム

法律相談Q&A:年金分割の手続どうすれば?

2019.03.20

Q 夫との離婚を考えていますが、老後の生活が心配です。離婚の際、夫の年金の分割を請求できると聞きました。どのように手続をすればいいですか。

A 離婚による年金分割は、婚姻中の厚生年金・共済年金の保険料納付記録(標準報酬)を分割できる制度です(夫婦とも国民年金のみの場合は、分割制度はありません)。年金分割により、あなたは、自分の年金受給開始後、標準報酬の分割を反映した年金額を受け取ることが出来るようになります。

年金事務所で請求すると、資料として、対象期間・標準報酬総額などを記載した「年金分割のための情報通知書」の交付を受けられます。分割後の年金の見込額を試算してもらえる場合もあるので、確認してみましょう。

年金分割をするには、夫との話し合いで「年金事務所に年金分割の請求をすること」、「分割する場合の按分割合」を合意することが必要です。平成20年4月1日以後に国民年金第3号被保険者(主婦など)であった人の請求により、合意によらず、保険料納付記録を2分の1ずつ分割できる制度がありますが、平成20年4月1日より前の期間については、合意が必要となります。

合意が出来たら内容を書面にし、離婚後に、年金事務所で分割請求の手続を行います。

書面が、双方が署名した単なる合意書である場合、夫と2人で年金事務所に持参する必要があります。公証役場で文書(公正証書か、公証人の認証を受けた私署証書)を作成しておくと、その後、あなたが単独で手続できます。

話し合いがまとまらない時は、家庭裁判所での調停や審判、離婚訴訟の手続の中で按分割合を定めます。この場合も、調停・審判、判決で按分割合が決まった後、年金事務所で手続をする必要があります。

年金分割は、夫が年金受給前でも受給開始後でも可能ですが、離婚後2年が経過するまでに行わなければなりません。