コラム

地主が反対しているが、増改築したい

2018.06.01

「借地上の建物を建て直したいが、地主の承諾が得られないで困っています。」そんな悩みはありませんか。法律上は、借地契約に「増改築禁止特約」がつけられていなければ、増改築は自由です。また、「特約」があっても、裁判所に申し立てることにより、一定の承諾料と引換に地主の承諾に代わる決定を出してくれます(借地借家法17条。なお、平成4年8月以降の契約については、借地人が契約残存期間を超えて存続する建物を新築する「再築」の場合は、再築許可の申立が必要です。借地借家法18条)。

ところで、古い契約だと契約書が残っていないケースも多く、「特約」の有無をめぐって紛争になることも少なくありません。私が相談を受けたAさんの場合、契約書上は「特約」はなかったのですが、地主があれこれ言うので、老朽化した建物の再築を断念されかかっていました。そこで、私は地主の承諾に代わる決定を求めて裁判所に申し立てることにしました。このねらいは、裁判所の仲介の元に、いくらかでも承諾料を支払うことで後々のトラブルを未然に防ごうというところにありました。

大阪地裁では、この種の事件は専門部に係属します。裁判官は、地主が「特約」の証拠が出せないのなら、「却下」にせざるをえないけど(この場合、Aさんは、「特約」がないという裁判所のお墨付きを得て、堂々と再築できることになります)、せっかくなので、専門家を入れて調停をしましょうということになりました。そして、不動産の専門家に入ってもらい、トラブルとなっていた借地の範囲なども確定した上で、妥当な解決案を出してくれました。地主は解決金額が安すぎるのが不満だったようで、かなり抵抗しましたが、裁判所の説得もあり、最終的にはこれで合意することができました。

このように、借地をめぐる地主との間のトラブルは、裁判所の手続を践むことでかなりの部分が解決できるのです。