コラム

養育費についての法改正

2025.09.24

令和6年の親族法改正について、共同親権の影に隠れていますが、他にも重要な改正がされています。それが法定養育費制度です。

近年の調査では、離婚の際に養育費の取り決めをした割合は統計上50%を切っており、実際に、私も、離婚時の疲弊した精神状態では養育費の取り決めをする元気がなかったり、早く離婚を成立させたいがために取り決めをしなかったという相談を聞いています。

このような場合、後から養育費を請求するには、新たに当事者間で協議をするか、家庭裁判所の調停又は審判手続きをとる必要があります。しかし、このような手続きは、それ自体労力も時間も費用もかかります。また、離婚時からの養育費請求が認められるとは限りません。さらに、一旦取決めをしても、養育費が支払われないことも多々あります。

令和6年の法改正では、このような問題を解消するべく、法定養育費制度を創設しました。この制度では、協議離婚の際に養育費の取り決めをしなかった場合でも、離婚の日から、一定額の養育費を請求できるようになります。

加えて、法定養育費を含めた養育費に先取特権という優先権を与え、調停、審判等による取決めがなくても、強制的に預金等を差押え、養育費を回収できるように改正されました。

これらの制度が適用されるのは改正法の施行日(2026年5月23日までには施行される予定)以後の離婚に限られるため注意が必要ですが、子どもの養育を受ける権利を強化する法改正といえます。