コラム

カジノでは、大阪の未来は輝かない =大阪IRカジノ住民訴訟で、松井前市長らに1044億円の損害賠償請求

2025.07.17

大阪・関西万博と一体となって開発が進められようとしているのが、大阪IRカジノの事業です。今も夢洲の万博会場の隣のフェンスの向こうでは、その基礎工事が行われています。

しかし、第1に、カジノは一定の率で必ずギャンブル依存症を発症させます(海外研究で0.4%~2%程度との報告あり)。本人だけでなく家族と地域社会全体に大きな不幸や損害を与えます。そのようなカジノ事業に大阪府や大阪市という地方自治体が莫大な予算と市職員をつぎ込んで、市有地である夢洲にカジノ施設を誘致すること自体が、大きな間違いです。

第2に、市有地を民間事業者に貸す以上、その賃料は適正な価格でなければなりません。ところが大阪市がIRカジノ会社に貸す賃料は、極めて格安です。夢洲のカジノ用地と万博用地に電気を供給する関西電力の変電所用地は大阪市の鑑定で33万円/㎡なのに、隣のカジノ用地は土地価格を12万円/㎡と計算して賃料を安く設定しています。

大阪の市民グループ(代表藤永さん)が信頼できる不動産鑑定士に賃料の評価を依頼したところ、月額の適正賃料は少なくとも4億7千万円でした。大阪市の契約賃料はその半分以下の2億1千万円です。差額の2億6千万円が、毎月、大阪市民の損害として発生します。カジノ用地の使用期間は33年余りですので、損害は累計で約1044億円です。市民グループはこの損害額をこのカジノ会社との契約に責任のある松井前市長や格安賃料の鑑定をおこなった不動産鑑定会社と鑑定士、そして不当な利益を得るIRカジノ会社自身に請求することを求める住民訴訟も提起し、その訴訟が本格化しています。

万博のスローガンは「いのち輝く未来社会のデザイン」とのこと。カジノで大阪の未来は決して輝きません。カジノをやめさせる運動、にみなさんの関心と支援をお願いします。

※この住民訴訟の弁護団には当事務所から弁護士の岩佐・加苅・吉川と長野が参加しています。