コラム

民事調停手続について

2025.04.30

裁判所で扱う民事の手続には、裁判以外に民事調停という手続があります。

調停とは、裁判のように勝ち負けを決めるのではなく、話合いによりお互いが合意することで紛争の解決を図る手続です。

調停手続では、一般市民から選ばれた調停委員が、裁判官とともに、紛争の解決に当たっています。私は2006年から、大阪簡易裁判所と大阪地方裁判所の調停委員に就任し、現在も委員を続けています。1年間の民事裁判の新件が約40~50万件であるのに対し、民事調停は3~4万件と必ずしも多くはありません。また、話合いによる解決を目指す手続なので、お互いが譲り合うことがなければ解決には至らないというデメリットはあります。

したがって、民事調停の手続で調停が成立して終了する事件の割合は、全体の約半分強ほどです。

ただ調停では、通常は第1回の手続から、当事者双方の言い分を調停委員がよく聴き取った上で解決の方法を探っていくため、解決までの期間が裁判に比べて早く、民事調停の平均審理期間は約4ヶ月弱となっています。また、裁判所に納める手数料も、裁判の場合に比べて安くなっています。

民事紛争の話合いの手続は、裁判所が扱う調停の他にも民間の機関が扱うものも多くありますので、選択する方法の一つとして弁護士と相談をしてみてください。