コラム

遺言の効能

2024.06.25

遺産分割に際して、相続財産に不動産があるのに相続人が誰なのか判然としない場合など、大変困ることがあります。 お子さんがいらっしゃらない場合、お子さんがいても音信不通となった場合など、相続人の全てを探し出して遺産分割に応じてもらうのに苦労をします。

このような場合には、遺言を作成して不動産を相続させる人を指定しておけば、随分楽に処理することができます。 もちろん、相続人が明らかな場合でも、相続人間が争う可能性があるときには、 遺言で相続させる人を指定しておくと処理が楽になりま す。

ただし、遺言を作成していても、配偶者やお子さんには遺留分がありますので、その遺留分を侵害しないようにしておく配慮が必要です。

遺留分は法定相続分の半分ですので、 各相続人が遺留分を相続できるようにするのが良く、もし遺留分を相続できない相続人が発生する場合には、その理由を明示し、裏付資料も保存しておくことが必要です。

例えば、多額の生前贈与をしていた場合には、その贈与の内容を遺言に明記して領収証を保存しておくとか、生前贈与をする際に遺留分を放棄してもらい裁判所の許可を取っておくとか、です。

また、遺留分を侵害する内容の遺言を 残された方(遺族)は、遺留分を侵害された相続人に対して、遺言の写しを送るとともに、遺留分侵害額請求をする機会を設ける内容の手紙を内容証明付郵便で送るなどしておくことも必要です。

生前贈与を受けた本人であれば、まだ納得してもらえる余地はありますが、本人が亡くなった後の相続人は事情を知らないので、紛争が生じる可能性が大きくなるからです。

相続に絡む問題は たくさんあり、 素人ではなかなか対応しきれないので、遺言を作成する前に、銀行などの金融機関ではなく、専門家である弁護士に相談しておくことを強くお勧めします。