コラム

カジノ業者への,「巨額の公費投入」と 違法鑑定による「格安賃料」は許せない-大阪IRカジノ住民訴訟

2024.04.10

松井大阪市長(大阪維新の会)は「カジノに税金は一切投入しない」と約束しました。しかし、コロナ禍で複数の業者がカジノ計画をあきらめた後、残ったカジノ業者1社のいいなりに、大阪湾にある夢洲(ゆめしま)の土地の「液状化対策」などのために788億円の公費投入を約束しました。

さらに、大阪市は、カジノ業者への土地賃料を違法な鑑定を使って格安にしていることが判明しました。違法な理由はたくさんあります。

❶カジノ業者は、夢洲に、日本有数の「VIP向けの最高級ホテル」を含む3つのホテルとカジノ施設がはいる高層建物を建てる計画です。しかし、埋め立て地である夢洲は「液状化対策」などをしないと高層建物を建築することができないため、巨額の公費を投入するというのです。それなのに、カジノ業者へは、2階建てから4階建ての低中層の商業施設(イオンモールなど)に使う前提の格安の賃料で貸すというのです。

❷大阪市は不動産鑑定業者に適正賃料の鑑定をしてもらったというのですが、その鑑定は、大阪市の指定で「カジノ事業を考慮外」とするものでした。カジノ事業のために大阪市の土地を貸すのに「カジノ事業を考慮外」としての鑑定は違法です。

❸カジノなどが入る高層建物のすぐ前には、大阪の地下鉄の「夢洲新駅」が建設中です。しかし、賃料鑑定の条件は、海を隔てた隣の咲洲(さきしま)にある3・5㎞も離れた駅が「最寄り駅」とされています。

❹加えて、カジノ業者に貸す賃料は、同じ夢洲のなかで「コンテナの台車置場」の使用料とほぼ同じである、という驚きの事実も判明しました。豪華ホテルとカジノがはいる高層建物の賃料が、コンテナの台車置き場と同じで、適正な賃料と言えるはずがありません。
昨年9月、大阪府・市はカジノ業者とカジノ計画の実施協定書を締結しました。しかし、その中には、「現状ではカジノ事業を行う前提条件が充足されていない」とカジノ業者に通告されており、業者は今後3年間いつでも白紙撤回できることになっています。カジノ業者から逃げられたくなければ、業者のいいなりにさらに巨額の税金を投入するしかないという、異常な内容の契約です。カジノ計画を阻止するために、既に2つの住民訴訟が起こされています。

こんなカジノ計画は、早く「白紙撤回」させましょう。