このたび、旬報社から、「最新テーマ別〈実践〉労働法実務シリーズ」(全13巻)が刊行されることになりました。 私はその編集委員ですが、第1巻の執筆も担当することになり、2024年7月、標題の書籍を上梓し …続きを読む
問い 食品工場で、機械に巻き込まれて腕を切断しました。労災保険での補償受けましたが、雇主にも損害の請求ができますか。
答え 雇用主は、働いている労働者に対して、仕事の過程で労働者の命や身体の安全を危険から保護する義務があります(労働契約法5条)。「安全配慮義務」といいます。
労働安全衛生法とその関連する法規は、労働者の安全を確保するために、様々な規定を定めています。雇用主には、その内容に沿った義務があります。例えば食品の製造過程で、機械が作動している部分には、安全ガードをつけねばなりません。また、機械の清掃や調整の作業中は、機械を停止させて行わせなければなりません。雇用主が、こうした義務を怠っていて、事故が発生し、労働者が負傷した時には、雇用主は安全配慮義務違反となり、損害賠償義務があります。
これは一例ですが、職場でのハラスメントや過重労働など、労働者が仕事を遂行する上で、雇用主は、様々な場面で安全配慮義務を有します。
労災事故では、事故を負った労働者に、労災保険では賄いきれない損害が発生します。雇用主に安全配慮義務違反があれば、損害賠償請求することになります。