2024年4月1日から、相続登記申請が義務化となりました。その内容は、相続人は、不動産(土地・建物)を相続で取得したことを知った日から3年以内に、相続登記を法務局へ申請しなければならないというものです …続きを読む
最近、刑事事件で、外国人技能実習生として来日した外国人のオーバーステイをした人の弁護を立て続けに担当しました。
国・厚労省は、外国人技能実習制度を「我が国が先進国としての役割を果たしつつ国際社会との調和ある発展を図っていくため、技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う『人づくり』に協力することを目的」としています。
しかし、このような美辞麗句は建前であり、実際は日本人が働かないようなきつい、汚い、危険のいわゆる3K職種での人手不足の解消のために、しかも低賃金で就労をさせているケースが少なくないのが実態です。
技能実習生は、監理団体で日本語などの研修を受けた後、実習受け入れ先で就労します。また、在留期間の更新は監理団体を通じて行っています。
技能実習生は、制度上実習受入先を原則変更できないこととなっているので、待遇に不満をもっても受け入先の変更を求めることは困難です。
そして、技能実習生の多くは、来日前に母国の送り出し機関に多額の費用を支払っています。法務省出入国在留管理庁の2022年の調査によると、平均で50万円を超え、その半数以上が借金をして支払っているとのことです。そのため借金を返済することなく母国に帰ることはできないのです。
これでは、技能実習生は、実習受け入れ先でなんとか我慢して就労しても、いずれ我慢しきれなくなり、そうなれば逃げ出すしかないと考えても当然です。SNSなど外国人コミュニティーを頼り、別の就労先を見つけることもありますが、技能実習生として1年ごとの在留資格の更新はもはやできず、その結果、在留期限を迎えても、それを超えて日本に滞在することとなるのです。
人権侵害の温床でもある外国人技能実習生制度は、これから廃止の方向で議論が進みそうですが、新制度ができても外国人への人権侵害がないか、注視が必要です。