コラム

知らないうちに詐欺罪の共犯に!?‐割のいい「アルバイト」にご用心‐

2023.04.11

親族等を名乗り、現金をだまし取るオレオレ詐欺。複数の役割分担による巧妙な手口で被害が頻発しています。

被害者からお金を受け取る役割を担う「受け子」は、初めから詐欺グループの一員というより、SNSでの募集や、知人から物を運ぶアルバイトがあるけど一緒にしないかなどと勧誘されたのをきっかけに日雇いのアルバイトに応募するケースが増えています。実際に荷物を受け取り指定場所へ運んだところ、警察官から職務質問を受け逮捕された後に初めて「オレオレ詐欺」の「受け子」だったと明確に認識するのです。

アルバイトと認識していた「受け子」に詐欺罪の故意があったといえるのかは争点となりえます。

しかし、実際の刑事裁判では、荷物の中身が現金だと一見わからない場合でも、荷物を受け取る際に偽名を名乗るように指示されたり、スーツなど服装を指示されたり、報酬が仕事の割に高額だったり、警察から職務質問を受けたときに連絡をするようにと指示されたり、荷主が高齢者であると認識できたりするなどの事案で、「受け子」には荷主が騙されているかも知れないとの認識があったとして詐欺罪の故意があると認定されています。

スマホやSNSでアルバイトを探す機会も増えているようですが、たとえ知人からの紹介であっても、仕事の依頼主の身元がはっきりしない「アルバイト」には、詐欺罪の共犯とされる可能性があるので十分にご注意ください。