コラム

1ヶ月の治療で2年分の治療費請求!?

2023.02.20

歯医者さんで歯並びの治療を始めたが痛みがひどく食事も満足にとれなくなってしまったため、治療開始後1ヶ月以内に解約した、しかし2年分の治療費全額(百万円に近い額)の請求をうけた、という方の相談をうけました。確かに治療開始前に歯医者さんから渡された説明書には、「患者都合の途中解約の場合は全額払い」という記載がありました。

しかし、2年の治療期間の内わずか1ヶ月以内の治療しかうけていないのに、全期間の治療をうけたのと同じ治療費を払わないといけないのは納得がいかない、との気持ちはよくわかります。このような場合、専門家や専門業者が一般人(消費者)との間で定めた契約において、①消費者の利益を一方的に害する規定や、②平均的な損害を超える賠償金や違約金の定めは無効という法律(消費者契約法)があります。

そこで、消費者契約法にもとづき実際の治療器具の作成費用や検査代など適正な範囲なら支払うがそれを超える金額は支払う必要はないはずだ、として交渉したところ、相談者の方も納得する金額で解決することができました。

消費者契約法には「霊感商法」による契約を取り消すことができる規程もあります。昨年から旧統一協会による深刻な「高額寄付」の本人及び家族の救済のため、消費者契約法の改正が課題とされたのにはこのような背景もあるのです。