このたび、旬報社から、「最新テーマ別〈実践〉労働法実務シリーズ」(全13巻)が刊行されることになりました。 私はその編集委員ですが、第1巻の執筆も担当することになり、2024年7月、標題の書籍を上梓し …続きを読む
問い
派遣社員です。派遣先でトラックへの荷物の積み込み作業中、運送会社の運転手が、車についているパワー・ゲート(リフト)を誤操作して荷崩れが起き、怪我をしました。どんな賠償を受けられるでしょうか。
答え
仕事中の事故で傷害を負ったのですから、休業補償や治療費、後遺症が残ればその後遺症についても、労災保険への請求ができます。
そして、事故が、自動車の運行(自動車損害賠償法2条2項)によって起きたという、自動車事故の側面ももちますので、自賠責保険(強制保険)へも、自動車の保有者である運送会社へも請求ができます。当然ながら、誤作動で事故を起こした運転手(加害者)にも損害賠償請求ができます。
まずは、治療費も生活費もすぐに必要になるので、労災請求(療養補償給付・休業補償給付等)から始めるのが良いのではないでしょうか。労災保険では、被害者の過失も問題になりません。
一方、労災保険では、休業給付で賃金の100%の金額は出ませんし、慰謝料も出ないので、加害者や自動車の保有者に対して、労災保険から支給されない金額について、損害賠償請求することになるでしょう。