コラム

若者の金銭被害に要注意ー4月から成年年齢が引き下げられました

2022.08.30

 Xさんは高校を卒業し、大阪へ出て就職したばかりの18歳。ある日、街角で、ヨガ教室の体験に誘われました。ついて行くと、体験の後、しつこく入会を勧められ、半年間30万円のコースの契約にサインしました。1ヶ月ほどして「辞めたい」と申し出ましたが、ヨガ教室側は「辞めるのは勝手ですが、会費のお金は契約どおり払ってもらいますよ」と主張。契約書には、解約について何も書いてありません。困り果てたXさんに手立てはないのでしょうか。 

 Xさんは街角で勧誘を受けてヨガ教室との契約をしているので、訪問販売 (店舗外で声をかけられ同行して契約した類型)として、特定商取引法が適用されます。 契約書に解約 (クーリングオフ)について何も記載がない場合は、法定事項の記載が欠けていることになり、期間制限なく解約 (クーリングオフ)が可能です。Xさんは、クーリングオフにより、ヨガ教室に対する会費の支払いを免れ、既に支払った会費も返してもらうことが出来ました。 

 実は、Xさんは18歳なので、以前なら、未成年者が親権者の同意なく行った行為であることを理由に、ヨガ教室との契約を取り消すことが出来ました。しかし、2022年4月以降、成年年齢が18歳に引き下げられ、18歳のXさんがこの方法を取ることは出来なくなりました。 成年年齢の引下げは、18歳選挙権などと歩調を合わせ、若者の自己決定権を尊重する趣旨で行われましたが、若者をターゲットに高額の契約をさせる等の被害が広がる心配もあります。 

 若い世代の方には、金銭の支出や契約は慎重に行うとともに、何かあれば弁護士など専門家に相談していただきたいと思います。