問い 長年住んでいた借家から転居することになりましたが、家主さんから原状回復をするよう求められました。何をすれば良いのでしょうか。 答え 転居によって建物の賃貸借契約が終了すると、借主には原状回復をす …続きを読む
朝日放送に勤務していたリライター5名は、ラジオニュースのリライト (ニュース原稿の作成)やデスク業務を長年行ってきました。形式的には派遣社員でしたが、予め朝日放送に特定されて契約し、派遣契約で定められた範囲を超えて働きました。 賃金はそれぞれのキャリア等を評価して交渉で決めていました。
ところが、2017年に突然、「契約更新はしない。辞めてもらう。」と通告されました。5名は労働組合を結成し、雇用の確保について団体交渉を求めましたが、応じてもらえず、交渉できないまま失職しました。
2018年5月、組合は、朝日放送が団体交渉を拒否したのは不当労働行為であると労働委員会に救済を申立てました。2020年2月、朝日放送は派遣先であっても労働組合法上の「使用者」にあたるため団体交渉に応じなければならないとする救済命令を勝ち取りました。
朝日放送は再審査を申立てましたが、両者の希望により、2021年7 月、朝日放送が組合に対して解決金を支払う旨の和解が成立しました。仕事を失ってから1200日目、やっと掴んだ解決でした。
近年、とりわけ放送業界では、派遣社員などの非正規労働者が事業の根幹となる仕事を任されている例が少なくありません。しかし、正社員ではないため、何かあれば簡単に職場を追い出されてしまうという問題は残ったままです。本件は、派遣社員であっても雇用の問題について派遣先(就労先)と団体交渉できることを認めた事例として、非正規労働者を励ます先例となりました。