このたび、旬報社から、「最新テーマ別〈実践〉労働法実務シリーズ」(全13巻)が刊行されることになりました。 私はその編集委員ですが、第1巻の執筆も担当することになり、2024年7月、標題の書籍を上梓し …続きを読む
最近、新聞雑誌やテレビなどでAI (人工知能)やICT(情報通信技術) という言葉を目にする機会が増えまし た。とりわけ、コロナ禍によりリモートワーク(在宅勤務)が推奨されたことから、労働の場面に一気にこれらの導入が進みつつあります。
AIやICTは確かに便利なツールです。しかし、これを手放しで歓迎してよいのでしょうか。私は、昨年、AIやICTの導入が労働法実務にどう影響するかを考察する論文の執筆を 依頼されたのを機会に、少し勉強してみました。その結果わかったことは、 AIはしょせん人の書いたプログラムに過ぎないこと。そして、いかなるプ ログラマーも社会に存在する偏見から逃れることはできず、AIはその偏見をそのまま拡大再生産してしまうので、これに判断を委ねるのは危険であること。また、AIはビッグデータ収集のために個人のプライバシーを丸裸にしてしまう恐れがあり、その歯止めが必要であること。このほか、これは誰もが実感していることですが、リモートで人と人との間のコミュニケーションを図るのには限界があり、やはりリアルに対面してのやりとりが重要であることなどでした。
技術の進展には必ず功罪があります。その「罪」の部分を解明し警鐘を鳴らすのは弁護士の重要な社会的役割です。