このたび、旬報社から、「最新テーマ別〈実践〉労働法実務シリーズ」(全13巻)が刊行されることになりました。 私はその編集委員ですが、第1巻の執筆も担当することになり、2024年7月、標題の書籍を上梓し …続きを読む
築20年を超えるマンションで老朽化した水道管が水もれ事故を起こし、1 階の賃貸店舗の商品がダメになった事故について、相談をうけました。マンション管理組合は水もれ事故の保険に入っている場合が多いので、商品自体の補償は保険でカバーできます。しかし、老朽化した水道管を本格的に修繕しようとすると、その工事中に店舗が使えないということで、店舗に対する補償問題が生じます。
店舗の家主としては、店舗を使用させる対価として家賃を得ていますか ら、店舗が使用できない工事中は「家賃の減額」に応じる必要があります。 しかし、この工事がマンション管理組合の総会の決議でなされている場合には、家主(管理組合員)は総会決議に従う義務がありますので、店舗を閉めたことによる「売上の減少」までの責任はありません。
一方、マンション管理組合としては、 家主から「家賃の減額」を損害として 請求されたとしても、総会の決議に基づく工事であるとして、補償の義務はありません。しかし、水もれがずさんな管理による場合や、マンション全体の修繕ではなくその店舗付近だけの修繕の場合には、一部の者に対する「特別の影響」を与える工事として、家主及び店舗借主への補償の義務が生じることがあります。
築年数の古いマンションが増えており、複雑な法律相談が増えていると感じます。