問い 長年住んでいた借家から転居することになりましたが、家主さんから原状回復をするよう求められました。何をすれば良いのでしょうか。 答え 転居によって建物の賃貸借契約が終了すると、借主には原状回復をす …続きを読む
今年の5月、大阪市立小学校の校長先生が、松井大阪市長と大阪市教育委員会の教育長宛に「大阪市教育行政への提言」と題した文書を発出したことが話題となりました。この提言書は、松井市長によるオンライン授業の一方的な実施決定によって、教育現場に混乱が生じたことに端を発し、これまでの学校現場にもたらされた過度の競争や人事評価制度の弊害で、教職員、学校が疲弊して、教育の質が低下していることなどを指摘し、教育の在り方、政治や社会の在り方の根本的な見直しを提言するものでした。
ところが、この提言書に関し、松井市長は、「教育振興基本計画と違う形で学校運営するとあればルール違反、辞めてもらわな。」「決めたことをやらないというなら処分の対象。」と、提言に耳を傾けず、処分の可能性にすら言及しました。また維新の会の市会議員は、市議会の委員会で、大阪市職員基本条例に抵触し懲戒処分の可能性に関する質疑を行いました。
処分権限のない松井市長の発言は、教育への違法・不当な政治介入ですし、異なる意見を強権的に封殺するという姿勢は、多様な意見の存在を前提とする民主主義とは相容れないものです。
私が所属する法律家団体の自由法曹団大阪支部は、市教委に対し、校長先生の提言書の発出が何ら非違行為に該当しないことを指摘した上で、松井市長の発言に左右されることなく政治から独立した立場で教育行政を公正かつ適正に行い、この提言書を活かし、真に児童・生徒の人格的成長に資する教育施策を講ずるように要請しました。
要請後には、松井市長は、「彼を処分するなんて一言も言っておりません」などとトーンダウンしていますが、強権的な維新市政にはこれからも注視が必要です。