問い 長年住んでいた借家から転居することになりましたが、家主さんから原状回復をするよう求められました。何をすれば良いのでしょうか。 答え 転居によって建物の賃貸借契約が終了すると、借主には原状回復をす …続きを読む
5月12日、菅首相肝いりのデジタル改革関連法が成立しました。これにより、今年9月、内閣直属の「デジタル庁」が新設されます。デジタル庁は、予算配分権など他省庁にない強力な権限を持ち、全省庁や自治体に君臨することになります。そして、事務方のトップである「デジタル監」は民間企業から抜擢され、多数のスタッフも民間IT企業などに籍を置きつつ、ときどきデジタル庁の仕事をするという働き方が想定されています。これは官民癒着そのものです。菅首相の長男が勤める東北新社が総務省の官僚を接待していたことが問題になりましたが、それも可愛く見えてきます。
「デジタル庁」の指令のもと、マイナンバーカードを駆使してかき集められた個人情報は「ビッグデータ」として民間企業の金儲けの手段として提供されます。他方、これまで各自治体で構築されてきた個人情報保護制度はリセットされます。今後の個人情報保護は心細い限りです。
そもそも、プロファイリングという技術により個人の特定は容易にできますから、国民監視も進むおそれがあります。そういえば、ジョージ・オーウェル『一九八四年』という、旧ソ連の監視社会を風刺したディストピア小説がありました。香港では、中国の公安による民主派活動家の大弾圧が進められていますが、日本も人ごとではありません。
それから、関連法の一つである「標準化法」は、全国の自治体の住民基本台帳、社会保険、住民税などの情報管理システムに国の標準仕様を押し付けるものです。これまでは各自治体がそれぞれシステムを構築し、 障がい者や子育て世帯の減免などの 自治体独自の施策(サービス)もそのシステムに組み込まれてきました。ところが、今後はこれらのシステムはすべてスクラップになります。システムの入れ替え作業でIT企業は大儲けできますが、今後、自治体が独自の施策を続けるには、システムのカスタマイズ (改修) が必要となります。そのためには多額の費用がかかりますし、それが捻出できなければ、こうした施策(サービス) は 切り捨てられるおそれがあります。
こんな法律、国会の議論もそこそこに一気呵成に成立させるべきものではありませんでした。私たちはその危険性を訴える意見書を出しましたが、力及びませんでした。今後は各方面で被害が発生しないよう、取り組みを進めていく必要があります。