コラム

賃貸借契約の保証人の責任 全額の責任を負わなくてもよい場合があります

2021.02.11

問い 友人に頼まれて賃貸マンションの保証人になっていたところ、突然家主から、延滞金が多額に上っているため支払ってほしいとの請求を受けました。全額はらう必要がありますか。

 

答え

賃貸借契約の保証人は、賃借人が延滞した賃料の全額を負担するのがこれまでの原則でした。しかし、保証人が知らない間に延滞金が高額になってしまった場合には、全額の支払いの責任を保証人に課すことは酷なことがあります。

そのため、これまでの裁判では、色々な理由付けで、保証人の責任を限定したものがありました。

たとえば、賃借人が7年以上にわたり家賃を滞納しているのに、家主が解除などをすることなく放置していた場合に、3年を超える家賃の請求については、信義則に反するとして責任を限定したものなどです。

したがって、仮にそのような請求を受けたとしても、一度弁護士に相談をしてみることをお勧めします。

なお、今年4月から施行された民法の改正では、個人が賃貸借契約の保証人となるときには、責任の限度額を定め、かつ書面で保証契約を締結しない限り、その保証契約は無効となることとなり、保証人の保護が図られています。