コラム

あるトラックの事故で

2020.10.10

イベント会場の設備の撤去業務についていたAさんは、会場設備のトラックヘの積み込みの手伝いをしていました。トラックのパワーゲート(トラックの後部に付属する積み込み用の上下する台)に400㎏の荷物入りカゴ車を積み込んでいたところ、そのカゴ車がAさんの上に落下し、Aさんは腰椎骨折と足首の骨折という大怪我を負いました。

事故の原因は、パワーゲートを操作していたトッラク運転手の操作ミスでした。 この方の受傷は、仕事中の事故ですから労災です。それとともに、トラックの操作中の事故でもあると考え、交通事故としてトラックの所有者である運送会社に対し損害賠償請求の裁判を起こしました。運送会社(実際にはその自動車の加入する保険会社)が事故の責任を争いましたが、ほぼAさんの請求通りの賠償を勝ち取ることができました。

Aさんは大学までバスケットをやっていたスポーツマンでしたが、この大怪我で今も後遺症と闘っています。裁判で、少なくともAさんの負った怪我や後遺症が正当に補償される結果を得ることができました。

一般には、道路上で自動車が走行中に起きた事故が交通事故と思われがちですが、
通常想定される以上に交通事故(強制保険や任意保険)のカバーする範囲は広いので、今回のように、交通事故として請求できる場合も少なくありません。
弁護士の仕事は、正当な権利の実現のためには、法律手続上も様々な解決の方策を探ることが求められる仕事であると、今更ながらに考える事件でした。