コラム

言論の不自由とたたかう

2020.09.29

最近、権力者が自分と異なる意見を攻撃する事例が目に余ります。そうした風潮に乗って、少数派の意見を叩くことが正義であると勘違いしている人も増えているように思います。狭量な安倍政権の姿勢に毒されているか、社会の寛容度が低下しているのです。

2019年は「あいちトリエンナーレ」(芸術祭)の企画「表現の不自由展・その後」が「反日だ」と脅迫を受けて中止され、大問題となりましたが、実は、似たような事件は最近あちこちで起きています。

大阪でも、枚方市長が、労働組合が機関紙で政権批判を書くのは許されないと言いだし、あろうことか、機関紙は組合事務所で作っているからという理由で、2018年末に組合事務所の明け渡しを求める事件が発生しました。

驚いた私たちは、正月休みもそこそこに大阪府労働委員会に不当労働行為救済申立を行い、さらに実効確保の措置を申立てました(裁判所の仮処分のようなものです)。さすがに大阪府労働委員会も前代未聞と驚かれたか、第一回期日前に公益委員名義で文書勧告を出すという、異例の対応をしてくれました。

その結果、枚方市長は渋々これを受け入れ、年度末での退去という事態は回避されました。しかし、枚方市長が反省したわけではないので、引き続き、審理が続いています。

自分とは異なる意見や価値観の表明も認める。そんな当たり前といえばあまりにも当たり前の社会を守るためにも、弁護団の一員としてがんばります(弁護団には私のほか、公務員労組の事件は初めてという加苅弁護士も参加しています)。