コラム

法律相談Q&A:台風で屋根瓦が隣家に直撃!?損害賠償しなければならないの?

2019.03.10

Q 大型台風により自宅の屋根瓦が強風に飛ばされ、お隣さん宅に衝突してしまいました。お隣さんの被った損害を賠償しなければならないのでしょうか?

A 大阪北部地震や台風21号など、大規模な自然災害が続きました。被災された皆様にはお見舞い申し上げます。

相談事例のように、自然災害によって他人に損害を与えてしまった場合、どのような責任があるのでしょうか。

建物などの土地工作物が、通常予想される危険に対し、通常備えているべき安全性を 欠いていた(=「瑕疵」があった)ため、他人に損害を与えてしまった場合、建物の所有者はその損害を賠償する責任を負います。(民法717条)

相談事例ですと、以前から強風で建物の屋根瓦がはがれることが度々あったのに、補修せずそのまま放置していたといった事情があれば、通常備えているべき安全性を備えていなかったとして、建物の所有者である相談者さんは損害賠償責任を負います。

他方、通常備えているべき安全性は確保されていたのに、想定を越える暴風(異常な自然力)によって瓦が飛んでしまったような場合には、責任を負いません。

瑕疵の有無は、建物の従前の状態や利用状況、周囲の家屋の被害状況、台風(自然災害)の規模など、さまざまな事情を考慮して判断されます。

被害を与えてしまった建物所有者が、個人賠償責任保険に加入していれば、損害賠償額について保険金により補填を受けられる場合があります。

また、被害を受けた方が、住宅保険・火災保険(台風による被害の場合)、地震特約・地震保険(地震・津波による被害の場合)に加入していれば、保険金の支払いによって損害の補填ができる場合があります。今年の台風21号は稀に見る強さでしたので、被害を受けた方が加入している保険を使って補修したケースが多かったようです。

なお、保険金の支払いの有無・範囲は、加入している保険の内容によります。その他、自治体による支援金を受け取れる場合もあります。

自然災害をめぐるトラブルにお悩みの方は、被害の状況を写真などで記録し、加入済みの保険証書等を持参してご相談ください。