コラム

保証人の責任はどこまで

2019.02.08

昔、知り合いの保証人になったまま忘れていて、ある日突然、債権者から請求されてびっくりしたという相談を受けることがあります。保証した当時は、主債務者から「大丈夫、絶対に迷惑はかけないから。」といわれていて、それを信じて保証人になったところ、ぜんぜん大丈夫ではなかった、などの話もよくあります。

2005年4月施行の現行民法では、保証は必ず書面で行うべきものとされ、貸金債務の保証は「極度額」(これ以上は責任を負わないという限度の金額)を定めなければならなくなりました。でも、それ以外(賃貸借契約など)の保証は対象外です(2020年4月施行の改正民法では、貸金債務以外の個人保証についても、極度額を定めなければならなくなります)。

もちろん、主債務が消滅していれば保証人も支払う必要はありません(ちなみに、消滅時効は現行民法では原則10年。2020年4月の改正法施行後に契約したものは原則5年です)。しかし、主債務者が破産したような場合は保証人は責任を免れません。債権者からすれば、まさにそのときのための保証人なのですから。

それでは、保証人は常に全額を支払わなければならないのでしょうか。
いいえ、必ずしもそうではありません。保証人に全額を支払わせるのが酷な場合、裁判所は信義則などを根拠に保証範囲を限定します。たとえば、主債務者との信頼関係が壊れて長期にわたる場合、主債務の財務状態の悪化や債務額の増大について知らされていなかった場合、債権者が主債務者からの回収について不注意があった場合、長年にわたり放置されていた場合などは、保証範囲が一定割合に制限されます。また、累積した遅延損害金の全部または相当部分が免除されることもあります。それをふまえて示談交渉で解決できることもあります。

したがって、無茶な請求を受けた場合は、迷わず弁護士にご相談ください。