コラム

法律相談Q&A:相続でどうなる?-保険金、借家、墓・仏壇

2018.07.19

Q 母が死亡し、兄と私が相続人です。母がかけていた生命保険の保険金や、借りていた自宅(借家)はどうなるのでしょうか。また、母が守っていた墓・仏壇はどうなりますか。

A 不動産・預貯金・自動車・有価証券など、被相続人(お母さん)名義の財産は、いずれも相続財産になります。相続財産については、相続人(あなたとお兄さん)の間で、遺産分割の協議により、誰が個別の財産を取得するかを決めます。

被相続人が契約していた生命保険の保険金は、受取人が指定されている場合、その受取人が保険契約により固有の権利として取得しますので、相続財産にはなりません。保険約款に受取人が定められている場合も、その受取人が固有の権利として保険金を取得し、相続財産にはなりません。一方、受取人の指定がない場合や、被相続人自身が受取人になっている場合は、保険金は相続財産になります。

賃借権も相続財産に含まれ、お母さんの有していた借家の賃借権を、あなたとお兄さんが相続します。誰が賃借権を取得するかは協議して決めます。賃貸人(家主)との関係では、相続をきっかけに、賃貸借契約書の書き換えや、名義変更料の支払いを求められることがありますが、家主との権利関係に変動はないので、応じる必要はありません。

墓や仏壇といった祭祀財産は、相続財産とは区別されます。墓地との契約などに特別の決まりがない限りは、「慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者」が承継することになっています。慣習上、墓・仏壇を守るとされている人が引き継ぐことになります。