谷町だより

「1984年」(ジョージ・オーウェル:ハヤカワepi文庫)

2017.05.31

1984年当時に「1984年が来た!」と騒がれていた小説。当時中学生の私は難しい本と決めつけていました。それから30年余り。新訳で再び読まれているとのこと。

描かれた世界は、旧ソ連や北朝鮮であるかもしれませんが、現在の日本にも当てはまるところがあります。過去を書き換える、人々から思考と言葉を奪って行く、労働階級は人として扱われない。監視社会で誰を信じればいいのか分からない。
しかし作者は、差別された労働階級の姿に、希望の片鱗を埋め込むことを忘れていないようにも読めます。

作者オーウェルは1903年生まれ、1949年にこの作品を発表し、1950年没しています。現実の1984年を、2017年を見ることができたら、何と言ったでしょうか。