問い 長年住んでいた借家から転居することになりましたが、家主さんから原状回復をするよう求められました。何をすれば良いのでしょうか。 答え 転居によって建物の賃貸借契約が終了すると、借主には原状回復をす …続きを読む
大阪地方裁判所は、今年3月28日、第2陣訴訟(被害者36名)について、再び泉南地域のアスベスト被害について国の責任を認め、勝訴しました。
大阪泉南アスベスト国家賠償訴訟は、2006(平成18)年、大阪泉南地域(泉南市・阪南市の紡織工場で働いた労働者らが国に対し、アスベストの被害について、「(国は)知ってた、(被害対策を)できた、(しかし)やらなかった」責任を追求し、損害賠償を求めて、提訴した裁判です。第1陣訴訟(被害者数33名)は、2010(平成22)年5月、大阪地裁で原告勝訴の判決得ましたが、国の控訴により、昨年8月大阪高裁で不当な逆転判決を受け、現在最高裁で闘っています。
このたびの大阪地裁の原告勝訴の判決は、国の責任を再び認めたもので、まさに司法の良心に従ったものとして、大きく評価できるものです。
先の「大阪高裁判決」が、石綿により人の生命、健康に被害が生じるなど一定の弊害がでても、経済発展のためにはやむを得ない、とした点について、今回の判決は、経済的発展を優先すべきであるという理由で労働者の健康を蔑ろにすることは許されない、労働災害の防止のための費用を要するの当然で、それが局所排気装置の設置を義務づけない理由にはならないと述べ、産業発展や事業主のコスト負担増を理由に労働者の生命健康を犠牲にすることは許されないと断じました。
また、「大阪高裁判決」が、被害発生が防止できなかったのは、新聞報道等でアスベストの危険性を知り、自分で身を守らなければならない被害者が、防じんマスクの着用を徹底しなかったからだ、と責任を被害者に押しつけた点について、今回の大阪判決は、防じんマスクは粉じん対策としては補助的手段にすぎず、粉じん飛散防止措置を講じなければ石綿ばく露は防げなかったとして、国の責任を認めました。
一方、今回の判決は、いくつかの問題点もあります。しかし、わずか7か月前に出された国民の生命健康を軽視し自己責任の論理で貫かれた不当な高裁を克服し、生命健康を至上の価値とする憲法と労働現場の実態を踏まえて糺し、国の責任を再び認めたものです。
すでに被害者の約半数が亡くなり、生存原告も日々、高齢化と病気の重篤化に苦しんでいます。判決後、国は、早々に控訴しました。1陣最高裁、2陣高裁と闘いは続きます。「生きているうちの全面解決」を求める今後の闘いに、皆様の変わらぬご支援をお願いします。