問い 長年住んでいた借家から転居することになりましたが、家主さんから原状回復をするよう求められました。何をすれば良いのでしょうか。 答え 転居によって建物の賃貸借契約が終了すると、借主には原状回復をす …続きを読む
賃貸借契約締結時に、保証金を差し入れ、解約時にはその何割かを差し引くとされたり(敷引特約)、契約を更新する際には更新料を支払うものとされたり(更新料特約)することがあります。
他方、消費者契約法10条は、「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは無効とする」としています。
そこで、これらの特約が消費者契約法違反ではないかが裁判で争われてきましたが、最高裁は、たてつづけに、これらを有効とする判決を出しました(最高裁平成23年3月24日判決(第一小法廷、敷引特約)、7月12日判決(第三小法廷、敷引特約)、7月15日判決(第二小法廷、更新料))。
判決は、敷引額等が高額に過ぎるなどの特段の事情がある場合には無効としていますが、7月12日判決では、100万円の保証金から60万円を差し引く特約が家賃(月約17万円)の3・5倍程度では高額に過ぎるとは言えないとしています。
また、更新料についても、1年更新で家賃2・2か月分の更新料では高額に過ぎるとは言えないとしています。これらに対し、消費者団体から強い批判が寄せられていますが、最高裁は、契約書に書いてあるのだから当初から明確に認識していたはずだという態度です。
契約書に書いておきさえすれば原則オーケーという発想はまさに新自由主義的といえますが、みなさんも契約を結ぶにあたっては注意しておきましょう。