コラム

労災あれこれ

2010.05.27

労働者が業務中に負傷した場合、労災に治療費や休業補償などを請求することができます。

正社員だけでなく、アルバイトやパートの方でも請求できますし、休憩中や出張中の事故はもちろん、過労死や自殺であっても、その要因が使用者の支配下によるものと認められた場合には、補償を受けることができます。また、使用者(会社)が労災保険料を支払っていなくても、補償を受けられる場合があります。

他方で、労災発生について使用者(会社)にも過失がある場合には、使用者(会社)に対して損害の賠償請求もできます。

労災の請求は、通常は、会社の事務担当者か、会社が契約している社会保険労務士などが代わりにやってくれますが、会社がやってくれないケースもあります。
 
会社が労災を認めてしまうと、前述のとおり会社自身が損害賠償をしなければならなくなるおそれがあるだけでなく、所轄官庁への報告届出が面倒であったり、将来の労災保険料負担が増加したり、会社のイメージが低下したりしますので、労災が起きたこと自体を隠匿することもあるわけです(いわゆる「労災隠し」)。
 
そういう場合は、自分で請求しなければなりません。

ところで、労災を判定するのは労働基準監督署ですが、労災判定基準に当てはまるか判断しにくいケースでは、難しい判断を事務官の裁量に委ねることになりますので、必ずしも適正な判断がなされるとは限りません。そのような場合に、不服申立てをしても、行政内部の問題についての不服が認められるケースは多くありません。

結局、救済を受けるために訴訟の提起を余儀なくされることも多くなりますが、他方で、労災認定を求めて行政訴訟に至った場合の原告勝訴率は約5割にのぼると言われています。

ですから、労災が発生したと思われる時、あるいは、労災認定が受けられるか否かがよく分からない時には、通常の訴訟と同様に初動が大切ですので、速やかに当法律事務所の弁護士に相談されることをお勧めします。

(全国一般労働組合大阪府本部機関紙「はたらくなかま」№435掲載記事を修正)